一分銀はいくらか

 藤沢周平の小説の中に、主人公(伊之助)が、怪しい店の主人の所へ
聞き込みに行った際に、店の主人が話を打ち切りたくてくれた駄賃(一分銀二枚)を、
別の聞き込みのときに、居酒屋の女中にそのまま渡す場面がある。
 そして、ちり紙の包みの中を見た女中が、「こんなにもらってよいのか」と驚く。

 江戸時代の通常の貨幣価値では、一両=四分。
一両が5万円なら、一分は12,500円。二分なら25,000円。
いくらなんでも多いのではないか。

 ただし、一分銀は、天保年間(1830年〜1843年)に初めて鋳造された
もので、価値は一両の13分の1という換算表がありました。
 一両を50,000円とすると、一分銀は3,800円、2枚で7,600円、
これなら納得できます。