杉浦直樹という俳優

先日、テレビで、杉浦直樹を偲ぶということで再放送された、「輝く湖にて」というドラマを見た。心臓に病気を抱え、死を身近に感じている皮肉屋の父と、ばついちのその娘の和解を描いた通俗的な作品。2004年作。
杉浦直樹という俳優は、あまり好きではありませんが、八千草薫に惹かれて、ほぼ全編見てしまいました。そうして改めて見たら、杉浦直樹は芝居が上手な人だったということを再確認しました。その点で、私にとっては、佐分利信と共通します。翻訳の臭い芝居をてらいなく演じ切って、芝居のくささを自分の演技の臭さの中に封じ込めて、しっかり立っていられる人です。本当に芝居が好きなのでしょう。こんなこと、この人でないとできないよなって、感じられてよかったです。
ついでに、私の好きな八千草薫は、芝居が上手な人ではないと思うのですが、例えば、杉浦直樹のような臭いほど演技の上手な人とからむとよい味を出す人のような気がします。芝居が好きということとは少し違う気がしますが、この作品は、八千草薫杉浦直樹を、何だかわからない雰囲気で包みこまないと、とんでもない作品になることでしょう。
娘役の真矢みきが、誰にも包み込んでもらえていない感じでした。

この作品を見て、老いということが他人事に感じられなかった点は、自分自身で新発見です。この先はずっとそうだと思うのですが…

原作は、アーネスト・トンプソンというイギリス人。この記事を書くにあたってネットで調べたら、この作家のフルネームは、なんと、アーネスト・トンプソン・シートンシートン動物記や狼王ロボの作者でありました。シートン先生、こんな作品も書いておられたのですね。